開発ストーリー

開発者の紹介

開発者の株式会社宮古商事の竹内一勝です。

私は2015年10月31日までの5年間、静岡県浜松市でiPhone修理店「スマホバンク」を単独で経営していました。現在は閉店して本商品の製造販売に注力しています。趣味はトライアスロンです。

開発の背景

iPhoneは防水ではありません。運が悪いとコップの水がこぼれただけで壊れてしまいます。しかも、水による故障は他の故障に比べてダメージが大きく、データも消えてしまう事が少なくはない状況でした。メーカー修理ではデータ復活を断られ、頼ってこられた方には非常に心苦しく何とかならないものかと思っていました。

IMGP0224

ひらめき!お客様の一言から

あるお客様が壊れたと、ご来店いただきました。とても大切にされていて、濡れてしまいそうな時には、防水ケースを使われていたそうですが、飲み会で知らないうちにお酒をこぼされて壊れてしまったそうです。

「やっぱり普段から使えないとダメだね。何かイイの知らない?」

私もスポーツをするので欲しかったのですが、有りませんでした。そこから開発がスタートしました。

cc-library0100083998272h

テストはセロテープ

袋形状のものは多くあり、防水ケースなので最初から考えていませんでした。フッ素コーティングも有りましたが、自分では施工できないのと、私の目では効果が疑問でした。特にsimカード部分の穴をどうするのか?自分では納得ができませんでした。

修理屋ですから毎日iPhoneを分解していますので内部の構造はわかっています。すべての穴や隙間を内側から検証して、3種類に分けてみました。水に弱い隙間はA、中間はB、接合がしっかりして水に強い部分をCという具合です。

なんと部品同士の接合部分の長さはiPhone5で125cmにもなることがわかりました。それだけ侵入の可能性があるという事です。

先ずは水に弱いAの35cmを何かで塞ぐことを考えました。

安易ですがセロテープです(笑)意外と感触は良かったのですが、貼るのが難しく、マナーボタンも動かないし、数日するとベトベト、剥がすとノリが残ってさらにベトベトしてダメでした。

Blue_tapes_cutter

絆創膏は素晴らしい

ちょうどその頃は手にケガをしていて毎日絆創膏をしていました。iPhoneに貼ってみると意外といい感じ!直ぐに種類をそろえて試したところ、透明絆創膏でかなり良い感じでした。

透明で目立たないし、柔らかくて伸びる素材なのでマナースイッチも動かせる優れものでした。

IMG_4070

シールのサンプル入手は困難

何としてもこの素材を手に入れてテストをしたいと思い、色々とメーカーさんに接触をしてみましたが、異業種だしあやしいと思われ全く相手にしてもらえず、素材すら入手できませんでした。

しかし、しつこく色々な部署からお願いをして2か月半後に5cm×100cmのサンプルをいただくことができました。

IMG_3402

試作の開始

サンプルを継ぎはぎしながらAの隙間を埋めて実験、Bの隙間を埋めて実験。これを繰り返しこの隙間はA、これはBというように線を引くことができました。

さすがに実験は水没しまくりなので、修理業者じゃないと無理だと思いました。。。

試行錯誤を繰り返し何度もテストをして、ある程度納得ができるものができました。

IMG_3409

IPXテストは失敗(iPhone5)

これなら大丈夫だと第三者機関の試験場でIPX4とIPX8(10気圧)の試験に挑みました。自信を持って臨んだのに結果は両方とも失敗でした。

IPX4の試験では、スピーカーのメッシュからの侵入でした。前日や前々日の同じような自社テストでは問題がなかったのに、何故か当日に失敗。

IPX8は通常1.5気圧のところ、無謀にも10気圧(水深約10m)で挑み失敗。AとBを完全に塞ぎましたが、水には強いと思っていたCの部分からの侵入でした。

IMG_3443

原因の追究

前日にできたのになぜ出来なかったのか?

専門家に尋ねたり調べたり実験したりして、撥水メッシュには、汚れたり濡れたりすると、性能が落ちることが分かりました。これで出来なかった理由に納得できました。

もともとiPhoneのその部分は撥水加工されているし、わざわざ濡らす人もいないだろうから、特に何もしなくても大丈夫だと思いました。
しかしiPhoneユーザーの多くは、イヤスピーカー部分のメッシュが汚れています。ここは凹んでいて吹き溜まりのようになりゴミが溜まりやすい構造になっているからです。音抜けは必要だからシールはできないしどうしよう???

では、iPhoneの内側使われている同じメッシュを貼ろう!

2枚にすれば内側は汚れないし、交換できるし、効果はかなりあるはず!

IMG_3463

実験装置の製作

試験場のテストは高額なので、何とか自分で出来ないか考えて作りました。

この2種類で、仮想試験場のテストができるようになりました。IMG_3513IMG_4068

特許出願はやめて実用新案で出願

自分が開発をしている商品は、調べてもどこにも無いことが分かっていたので、どうせなら特許を取りたいと思い何人かの弁理士さんに相談をしました。

前職でケータイの設計をしており事情に詳しく、面白がって一緒に考えてくれた方と出会えたのでとても助かりました。しかし、特許での出願は厳しいとの判断から実用新案で出願することになりました。

シール加工会社さん

この時点では継ぎはぎの試作品ですが、アイデアを形にしたくて、このシールを加工してくれる会社を探しました。あまり情報は出せないし、業種は違うのでほとんど相手にしてもらえませんでしたが、ダメ元だけどやってみましょうと、お付き合いをしていただける会社さんが見つかり、シールのサンプルもいただけて、図面から実際の大きさにカットして施工できるようになりました。

DSC_3197

メッシュ加工会社さん

同じようにメッシュを加工してくれる会社を探して、お願いできることになりました。こちらでは、国内のケータイやスマホメーカーで何年も前から採用されている実績をもつメッシュパーツの調達ができることになりました。

商品の構想の見直し

この時点で水没実験を繰り返していましたが、完全防水という目標は諦めました。隙間のすべてにシールを貼ることは可能ですが、現実味があまりなくユーザーに受け入れられないと思いました。

そこで、「もしもの時の為の保険」というコンセプトにして、目標はIPX3の生活防水にしぼり、とにかく使いやすく見た目が良いという事にこだわりました。

するとガラッとターゲットが変わりました。

  • 水の中でも使えるモノが欲しい・・・・・・・ほとんどいない2%

完全防水だけど操作性が悪い

  • もし水に濡れても壊れないモノが欲しい・・・・・ほとんどの人98%

生活防水だけど操作性が良い

ほとんどの人をターゲットにするわけなので、お手ごろ価格であり、お値段以上の総合力が必要になります。なにしろブランド力はゼロですから。。。

絆創膏用シールの断念

実際にシールを図面通りにカットしてもグニャグニャの柔らかい素材なので、貼るのがとても難しく、とても素人には貼れませんでした。

絆創膏用のシールでは粘着剤が染みだしてベトベトするという欠陥もわかり、既製品のシールではどうにもならないことが分かりシール自体を専用開発するしかない状況でした。

シールメーカーさんは殆んど上場企業で最低ロットは1m×3,000mという、開発段階では絶望的なロットでした。

IMG_3489IMG_3852

ひらめいた!貼る方法

このあたりから、どんな方法で貼れるのかテストの繰り返しでしたが、現在の位置合わせ方法を思いつき、サポートフィルムを使う事でクリアができました。

これを弁理士さんに相談すると、この貼りつけ方法が新しいシールというモノに加わることで、十分に特許になるという事がわかり、異例ですが実用新案を取り下げて特許に変更して出願することになりました。

IMG_4069.1

シール素材の試作品を製作

加工会社さんとシール会社さんにバックアップしていただき、シール自体の開発に入ることができました。

しかしシールの素材選定では、透明度、触り心地の表面処理方法、柔らかさ、厚み、の選定。

粘着剤の選定では、着きやすく剥がれやすい、ノリ残りがない、耐熱、透明度、の選定。

はく離紙の選定では、柔らかさ、厚み、吸水性、色、の選定。その繰り返しです。その他、ここでは書けないこともノウハウも多くありました。

IMG_5232

店頭での販売調査を開始

実際に何も知らないお客様の反応を知りたくて、調査を開始しました。

iPhoneが壊れてしまい、修理の為に修理店にいらして下さる方を対象に、故障の内容にかかわらず伺いました。

受付時に、私のiPhoneに貼ってあるシールを実際に触っていただき、もしもの時の防水性とガラスの保護にもなる事をご説明し、目立たなく操作性が良いことを実感していただきました。自分で貼る商品ですが、修理のついでに貼っておくこともできますよ!今後の故障の対策の為にいかがですか?

これで、3割の方から値段も聞かない状態で「お願いします」と言っていただけました。やはり、故障経験のある方は、何か対策をしたいと考えていることが分かりました。

量産品の試作

10月末の展示会での商品発表が決まっていましたので、何とかそれに間に合わせるように関係各社様にご協力をいただき実際の量産機での試作を行いました。

これで何とか展示会には間に合ったのですが、まさかのNG。。。

手で作っていたのとは違い、量産機での生産はプレスの圧力が手とは違い、サポートフィルムの粘着力が強すぎることが判明。その結果、防水シールには問題はないけれど、貼るのが難しく慣れた人でないと貼れないという致命的な欠陥が出てしまいました。急いで選定をし直して、再生産をしました。

IMG_5219

IPX3のテスト

前回の失敗をふまえ、ムリをしないようにIPX3を選択してテストを行っていただきました。

試験後に、試験官の目の前でiPhoneを分解する時はとてもドキドキしましたが、水の侵入は無く無事合格できました。

IMG_3898

商品パッケージの製作

パッケージのデザインはトライアスロン仲間にお願いしました。初めての事なので、追加変更の繰り返しで非常にご迷惑をかけてしまいました。その他、展示会でのポスターやチラシなど色々と作成していただき大変助かりました。

IMG_3950

世界初の商品が完成

開発には約一年程かかりましたが、多くの方にご協力をいただきまして、世の中に無いものを新しく生み出すという事が出来ました。
大変感謝をしております、本当にありがとうございました。

この時点では、できる限りの品質と価格を実現できたと思っています。しかし、今後も品質改善に努め、より良い商品に仕上げていきたいと思います。

IMG_3986

今後は営業開発です

良いと思う商品でも売れないという事は多々あります。

しかも、この商品は従来からあるケースでも保護フィルムでもない、新しいジャンルの商品ですので、口で説明をしてもなかなか理解していただけません。
ましてや貼り方を口頭や紙で説明するのは絶望的です。


写真で見ても目立たないので伝えにくく、どのようにユーザーの皆さんにお伝えするのかが、ポイントになります。

量販店の商品棚に並べても、知らない人が見たところで素通りされて売れないでしょう。

これをご覧いただいたのも何かのご縁でございます。

是非、宣伝のご協力をお願いいたします。

今後ともスマホ防水シールならびに宮古商事をよろしくお願いいたします。

このページの先頭へ

Translate »